平成12年(2000年)有珠山噴火の記録

平成12年(2000年)有珠山噴火

平成12年3月27日から火山性地震が頻発していた有珠山は、3月31日13時10分頃西山西麓から噴火しました。その後火口群を形成しながら断続的に噴火活動を続けていましたが、7月には一連のマグマ活動は終息に向かっているとの見解が、翌年5月にはマグマ活動の終息宣言が火山噴火予知連絡会から出されました。周辺市町村では、臨時火山情報が発表された3月28日から自主避難がはじまり、3月29日には壮瞥町、虻田町、伊達市において避難勧告が避難指示に変更されるなど万全の体制がとられ、最大で6,874世帯、15,815人が避難指示、勧告の対象となりました。
噴出物、地殻変動及び噴火前後の群発地震により、本線上が噴火口となった国道230号線、落石の発生した洞爺湖登別線滝見坂など道路の損傷や泥流による被害がありました。

噴火写真

室蘭土木現業所(当時)での対応

この噴火で室蘭土木現業所は、噴火前後には道道の通行規制や関連路線のパトロールを強化するなどの対応を行いました。また、噴火後の緊急的な対応として、無人化施工による仮設導流堤の設置や熱泥流で埋まった流路の掘削、住民の一次帰宅や避難指示区域の解除に向けての道道の降灰除去作業を実施しました。

公共土木施設の被災箇所(建設管理部関連のみ)

被害報告:13箇所(河川5箇所、砂防5箇所、道路2箇所、橋梁1箇所)C=1,855,000千円

河川:二級河川 板谷川
砂防:普通河川 源太川、昭和川、板谷右1号の沢川、トコタン川、西山川
道路:主要道道洞爺湖登別線
橋梁:一般道道 洞爺湖公園線(新山橋)

施工状況

無人化施工の状況(西山川)

無人化施工の状況(西山川)

降灰除去の状況

降灰除去の状況

泥流対策

昭和52年噴火の際には、大量の火山噴出物により周辺地域が一挙に荒廃し、さらに翌53年に大規模な泥流が発生したことから、今回の噴火に際しては早い時期から砂防事業による泥流対策について検討が行われました。
砂防事業は、有珠山噴火災害復興計画基本方針の土地利用計画を踏まえて、専門家による検討やシミュレーション、町づくりに関する地域の意見も取り入れて計画を作成し、総事業費約290億円をかけて平成19年度に概成しました。

洞爺湖温泉街の砂防施設(平成19年11月撮影)

洞爺湖温泉街の砂防施設(平成19年11月撮影)

道道の整備

今回の噴火は、本線上が噴火口となった国道230号線、地殻変動による道央自動車道やJRの寸断など周辺交通網にも大きな被害をもたらしました。
室蘭建設管理部では、避難路を確保するため、月浦地区と虻田本町を結ぶ洞爺虻田線・幌萌地区や噴火前後の群発地震により落石が発生した洞爺湖登別線滝見坂の改良工事を実施しました。
また、次期噴火時の迂回ルートの確保に向けて、噴火時の影響範囲外での迂回路を整備と併せて、有珠山周辺市町村の地域間連携の支援、及び北海道を代表する観光エリアにおける安全・安心な観光ルートの整備に向けた取り組みを行っています。

道路図

漁港の整備

洞爺湖町の市街に隣接する虻田漁港は、噴火時に危険区域内となったため使用できず、噴火期間中は出漁やほたての養殖作業ができない状況となり、さらには、隣の豊浦漁港への移動を余儀なくされるなど大きな漁業被害を受けました。このことから、噴火の影響範囲外の大磯地区において、噴火中においても、噴火の影響を受けることなく漁業活動が続けることができ、さらには、災害時には一般住民の避難場所や資材置き場、緊急避難救護船が接岸しての復興物資の陸揚げなど、復興支援基地としても利用できる機能を持った漁港の整備を進めています。

整備が進む虻田漁港(大磯分区)(平成23年4月5日撮影)

整備が進む虻田漁港(大磯分区)(平成23年4月5日撮影)

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