ノロウィルスに注意しましょう
ノロウィルスによる感染性胃腸炎や食中毒は1年を通して発生していますが、特に11月から3月の冬期に流行します。感染力が非常に強く、家庭や施設等で患者が発生すると、2次感染を起こし、集団感染を引き起こすことがあります。正しい知識と方法を身につけ、感染予防対策を徹底しましょう。
1 ノロウィルスってなに?
球形をした小さいウィルスで、感染した人の腸内で増殖し、ふん便や吐物中に排泄されます。
2 主な症状は?
感染すると、1日から2日の潜伏期間の後、吐き気、おう吐、腹痛、下痢などの症状が出ます。特におう吐が特徴的です。回復後も1週間から~1ヶ月の間、便の中にウィルスがありますので注意が必要です。
3 どうやって感染するの?
ほとんどが口からウィルスが入ること(経口感染)で感染しますが、次のような感染経路があると考えられています。
(1) 食品からの感染
- 感染した食品取扱者が調理などをして汚染された食品を食べた場合。
- 汚染された2枚貝を、生あるいは十分に加熱処理しないまま食べた場合。
- ノロウィルスに汚染された井戸水や簡易水道を消毒不十分で摂取した場合。
(2) 人からの感染
- 患者のふん便や吐物から人の手などを介して2次感染した場合。
- 家庭や施設内などヒト同士の接触する機会が多いところでヒトからヒトへ飛沫感染など直接感染する場合。
4 予防するための方法は?
(1) 手洗いをしっかりと行うこと!!
手洗いは手指についているウィルスを減らす最も有効な方法です。
- 調理の前・食事の前・トイレに行った後・汚物処理やオムツ交換などの後には必ず手を洗いましょう。
- 汚れの残りやすいところ(指先、指の間、爪の間、親指の周り、手首、手の甲)を丁寧に洗いましょう。
「 できていますか?衛生的な手洗い 」( 厚生労働省 ) ← リンク先のPDFファイルをご覧下さい。
(2) 消毒をしっかりと行うこと!!
- 次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤)希釈液による消毒
- 加熱(85℃以上、1分以上)による消毒 が効果的です。
*【次亜塩素酸ナトリウム希釈液の注意点について】
- 作り置きをする場合は消毒効果を保つためにしっかり容器のキャップをしめて、日光の当たらない暗い場所に保管しましょう。また、希釈したものは時間が経つと効果が落ちるため、その都度使い切るようにしましょう。
- 子どもの手の届かないところに保管しましょう。
- 他の洗剤と混ぜないで下さい。酸性洗剤と混合すると有毒なガスが発生します。消毒するときは必ず換気をしましょう。
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金属部分が腐食する可能性があるため、消毒後は水拭きを行いましょう、衣類や絨毯などに使用する際は脱色する可能性があります。
*【次亜塩素酸消毒液の作り方について】 原液の次亜塩素酸ナトリウム濃度が5%の場合(例)ハイター・ブリーチ
用途 | トイレや汚染物がついた場所 |
厨房内、日常的な清掃(ドアのぶ・てすり・蛇口)、食器、器具など |
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濃度 |
0.1%(1000ppm)以上 |
0.02%(200ppm)以上 | |
希釈方法 |
500ml を作る時 |
原液10mlを水で500mlに希釈する。 |
原液2.5mlを水で500mlに希釈する。 |
2L (2.5L)を作る時 |
原液40mlを水で2Lに希釈する。 |
原液10mlを水で2.5Lに希釈する。 |
(3) ふん便や吐物を正しく処理すること!!
- 嘔吐物処理セット(ノロセット)を準備しておきましょう。(バケツ、使い捨て手袋・マスク・エプロン・足カバー、消毒液、ペーパータオル、新聞紙、ビニール袋など)
- 嘔吐物処理は必要最低限の人数で行いましょう。
- 手袋、マスク、エプロンなどでしっかりと自己防衛をして嘔吐物処理を行いましょう。
- おう吐物などを処理する際にはスプレー(噴霧)の使用は好ましくありません。ウィルスを拡散してしまう可能性があります。
- 汚染物が乾燥するとウィルスが空中に漂い、吸い込むことで2次感染(塵埃感染)を起こします。汚染物は放置せず、速やかに適切に処理しましょう。
- 処理後は必ず環境を消毒しましょう。
* 【具体的なおう吐物処理の方法について】
- 嘔吐物の周りに人が近づかないように誘導し、換気のために窓を開けます。
- 使い捨てエプロン・マスク・手袋(・靴カバー)を身につけます。1次回収袋に次亜塩素酸消毒液(0.1%)を入れます。
- 新聞紙などで吐物を覆い、その上から静かに次亜塩素酸消毒液(0.1%)をかけます。その後、静かに取り除きます。
- 次亜塩素酸消毒液(0.1%)をペーパータオル等に染みこませ、浸すように拭き取ります。
- 吐物のあった周辺(2~3m)を次亜塩素酸消毒液(0.1%)をしみこませたペーパータオルで拭き取ります。
- 上記の部分をペーパータオルで覆い、その上から次亜塩素酸消毒液(0.1%)をかけ、30分消毒します。金属腐食性があるので、消毒した部分は水拭きをしましょう。
- 処理した汚物などを入れた1次回収袋に次亜塩素酸消毒液(0.1%)を廃棄物が浸るほどかけます。しっかりと閉じたら2次回収袋に入れます。
- ガウン→手袋→マスクの順番で脱いで2次回収袋に入れます。手袋は汚い外側を触らないように注意して脱ぎましょう。
- ビニールの内側に触れないように、2次回収袋を口を縛り捨てます。
- 靴裏を次亜塩素酸消毒液(0.1%)で浸した雑巾等で消毒し、必ず手をしっかりと洗います。
* 【おう吐物が飛び散る範囲】
- 1mの高さからフローリング等の床に嘔吐した場合、約2~3m 飛散すると言われています。
- 飛び散った吐物が目で見える範囲は1mほど。汚染区域から出る際は靴裏を消毒しましょう。
(4)環境の消毒方法!
- よく手を触れる場所(ドアのぶ、日用品、食器、おもちゃ類など)は次亜塩素酸消毒液(0.02%)で小まめに消毒を行いましょう。
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衣服は付着した汚物が飛び散らないように洗剤と水で下洗いをしてから、熱湯(85℃以上、1分以上)もしくは次亜塩素酸消毒液(0.02%)でつけ置きし消毒します。(※次亜塩素酸消毒液で消毒した場合脱色する恐れがあります。)下洗いをした場所も消毒しましょう。
(5)食中毒の予防!!
飲食店や食品工場、集団給食施設など食品を取り扱う施設はもとより、家庭においてもノロウィルスの食中毒を防ぎましょう。
- 調理前や作業の変わり目、トイレの後などには必ず手指を十分に洗いましょう。
- まな板、包丁、ふきんなどは、使用のたびによく洗浄、消毒、乾燥し、常に清潔を保ちましょう。
- 調理器具は、洗剤などを使用し、十分に洗浄した後、次亜塩素酸ナトリウム(200ppm)で浸すように拭くか、熱湯(85℃以上、1分以上)で加熱することが有効です。
5 家庭でできる対策は?
ご自身や家族に胃腸炎症状が見られる場合は2次感染に注意しましょう。
- 迅速且つ適切に汚物の処理や消毒を行いましょう。
- タオルやバスタオル等の共用は止めましょう。
- 下痢などの症状がある人は最後に入浴しましょう。
- 手洗いは小まめにしっかりと行いましょう。
6 施設でできる対策は?
施設で働いている方は次のことに気をつけましょう。
- 職員は普段から感染しないように食べ物や家族の健康状態に注意しましょう。
- おう吐や下痢などの胃腸炎症状があるときは食品を取り扱う作業をしないようにしましょう。
- 職員や入居者の健康状態を毎日確認しましょう。
- 胃腸炎症状があるときは、すぐに責任者に報告する仕組みをつくりましょう。
7 もっと詳しく知りたい人は
● 「ノロウィルスによる感染性胃腸炎を予防しましょう!!」 ( ← リンク先のPDFファイルをご覧下さい。 )
● 「ノロウィルスによる感染症・食中毒を予防しましょう!」 (←リンク先のPDFファイルをご覧下さい。)
● ノロウィルス等の検出状況 2016/1017シーズン(国立感染症研究所)
● ノロウィルスに関するQ&A( 厚生労働省 )
● ノロウィルス等の食中毒予防のための適切な手洗い(動画:MHLWchannel)(外部リンク)
● ノロウィルスなどによる感染症胃腸炎に注意しましょう!【「嘔吐物の処理方法」動画あり】(宮城県公式ウェブサイト)
電話番号:0143-24-9846
FAX番号:0143-23-1446