高齢者施設の方へ
結核の発生は高齢者に多い傾向があります
全国では毎年新たに1万人の結核患者が発生しており、年齢別にみると約7割を高齢者が占めています。
その原因として、高齢になり免疫力が低下し結核に感染・発病しやすいことが挙げられます。
また既感染の方(若い頃に結核に感染したが、免疫力で抑えつけられ発病せず経過したもの)が多いことも特徴のひとつです。
長引く症状に注意しましょう
結核は、風邪とよく似た初期症状がでることが一般的です。
しかし、高齢者の場合免疫力が低下しており、咳や鼻水、痰などが出にくくなることで、目立った症状がみられないことが多くあります。
また、症状が非特異的なため、風邪や肺炎など他の疾患との区別がつきにくく、その結果診断が遅れてしまい、重症化したり周囲への感染拡大を起こすこともあります。
そのため、日頃からの健診による早期発見に努めていただくとともに、「微熱が続く」、「なんとなく元気がない」など、いつもと違うところがあった場合には、早めの受診を勧めてください。
咳が続く 微熱が続く 倦怠感がある ➡ ⚠早めの受診を促しましょう!⚠
施設・事業所での結核対策
高齢者が多く集まる介護施設等では、一度感染症が発生すると集団感染に繋がることが多くあります。
また、利用者・入所者だけでなく、職員を介して感染が広がる場合もあります。
もしもの時に、適切にかつ迅速に対応することが非常に大切です。
次の資料を参考に、平時からの感染対策や発生時の対策についてご準備いただきますようお願いします。
外国人技能実習生を受け入れる施設・企業・管理団体の方へ
外国生まれの結核患者が増加しています
日本では近年、外国出生者の結核患者が増えています。
世界規模で見ると、結核は未だに総人口の約4分の1が感染している感染症です。日本国内でも結核を発病した人の約1割が外国生まれの患者です。
就労について
結核と診断されても、菌を身体の外に排出していなければ人に感染させる心配はありません。
また、きちんと治療を受けていれば働くことも可能です。
詳細は医療機関や保健所までお問い合わせください。
早期発見・早期受診が大切です
発見が遅れると感染拡大に繋がります。雇い入れ時に実施する健康診断は早めに行いましょう。
また、定期的な健康診断も確実に実施しましょう。
外国生まれの患者は、日本での医療受診に困難感を抱えており、その結果発見の遅れに繋がる事例もあります。
健康診断で要精検になった場合の受診サポートにもご配慮をお願いします。
治療中のサポートについて
結核の治療は、数種類の薬を約6~9ヶ月内服することが一般的です。
飲んだり飲まなかったり、自分で勝手に内服を中止してしまうと薬の効き目がなくなってしまいます。
「毎日きちんと薬を飲み続ける」ことが大切です。
慣れない環境で、医療機関を受診することに難しさのある方、内服習慣がなく服薬が疎かになってしまう方もいらっしゃいます。
周囲の方や管理者の方は、受診の送迎や通訳、声かけ、内服の見守りなど、患者が安心して治療を行えるようサポートをお願いいたします。
医療を中断させないことが大切です!